佐賀大学 循環物質化学専攻 佐賀大学大学院 工学系研究科

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研究

金属錯体の合成,構造および物性に関する研究

 らせん構造を有する金属錯体は,形の美しさに対する興味だけでなく,独特な構造に由来して発現する機能に期待が持たれています。金属錯体に限らず,らせん構造には右巻きと左巻きの二種類が可能ですが,この巻き方を自在に制御することができれば,新しい材料や医薬品の開発にも可能性が拡がります。我々の研究室では,このようならせん構造をはじめ,金属錯体の構造制御に関する研究を行っています。一方,金属錯体は無機物である金属と配位子と呼ばれる有機物で構成されますが,二種類の成分を含むからこそ実現できる機能があります。その代表格が多彩な発色や鮮明な発光であり,金属錯体が示す色や光も我々の研究対象の一部です。

(山田泰教)

研究紹介_山田

焼き物の新規装飾法の開発-ガラス中の結晶生成-

 佐賀県は有田焼,唐津焼などの焼き物が有名で,日本でも有名なブランドとなっている。研究室では地域産業への貢献を目的とし,焼き物の表面を覆っているガラスの新しい装飾法について研究している。ガラスは非晶質で結晶とは異なるものであるが,原料組成を制御し,結晶成長の種を与えると図1(a)に示すような放射状の結晶が得られた。この結晶の生成場所が制御でき,また花びら様の模様に発展でき,新規装飾法への応用を期待している。さらに,原料に添加剤を混合すると図1(b)に示すように紫外線照射で緑色発光を示す結晶が得られる。現在,工学的視点から結晶成長速度の解析とメカニズムの解明,発光特性(強度,色,残光など)の向上を研究している。

(渡孝則)

研究紹介_渡

セラミックスの粒子や薄膜をナノ・マイクロサイズで形をコントロールして高機能材料として利用する

 私の研究室では,セラミックスの粒子や薄膜をナノメートルもしくはマイクロメートルのサイズで形をコントロールする研究を行っています。1ナノメートルは0.000000001メートル,1マイクロメートルは0.000001メートルのことです。下図の写真は私の研究室で合成したセラミックスの一部です。美しい形や不思議な形に遭遇した時の感動は何物にも代えられないものがあります。"特異的な形"は"特異的な機能"を発現させる場合があるので,私たちは,これらの電池材料や発光材料や環境浄化材料や生体材料への応用を進めています。

(矢田光徳)

研究紹介_矢田

多孔性配位高分子におけるホスト-ゲスト相互作用とスピン状態の相関

 金属錯体は,金属イオンに配位子と呼ばれる有機分子が結合したナノメートルサイズの無機-有機複合体分子であり,構造や性質の多様性が特徴です。この金属錯体分子を規則的に連結して多次元構造に展開した「配位高分子」,さらにナノサイズの細孔を有する「多孔性配位高分子」は,金属錯体の物性・機能を連動させて高度化する高次組織体形成の基盤となります。
本研究では,外部刺激により磁性を制御可能なスピンクロスオーバー現象を示す金属錯体をボトムアップ的に構築した刺激応答性の多孔性配位高分子を開発しています。これらの錯体をホスト骨格として用いて,細孔中に吸着されたゲスト分子に応じた骨格の磁気特性変換や,光照射よるゲスト吸脱着能の制御など新材料の開発を目指しています。

(米田宏)

研究紹介_米田

有機フッ素化合物の効率的・実用的な合成法の開発

 有機分子内に1~3個ほどフッ素(F)を含む有機フッ素化合物を合成する研究を行っています。
 意外にも,有機フッ素化合物は医薬,農薬,機能性材料,燃料電池材料,液晶材料,界面活性剤,表面処理剤など皆さんの生活と関わりの深い分野で活躍しています。しかし,有機フッ素化合物は天然にはほとんど存在しないため,化学合成する必要があります。
 当研究室では,どのような化学合成法を用いれば目的とする有機フッ素化合物を簡単にかつ安全に合成できるかを日々研究しています。そのようにして合成された有機フッ素化合物の秘めた物性や生理活性が広く利用され,皆さんの生活を豊かにする糸口になることを期待しています。

(花本猛士)

研究紹介_花本

特異な構造要素を持つ新規機能性有機化合物の創成と化学修飾による機能高度化のための反応性中間体を活用した有機合成化学

1) 地球環境に優しい有機合成法の確立
・超強酸性触媒系の開発および有機合成化学への応用
・水中での有機合成反応
2) 分子認識に基づく超分子システムの構築と機能性有機材料の開発
光・熱等外部刺激に応答する有機色素,導電性シクロファンポリマー,分子識別機能を持つマクロ環化合物等の特異な分子構造を有する化合物の分子設計を行い,分子レベルでの機能-構造相関の解明を展開している。さらに,本成果を基に分子素子の設計・合成・評価を行い,人工超分子系の構築に関する分子設計指針の確立を行っている。
3)青色発光有機物質の創成および有機EL材料への応用
次世代の自発光型のフルカラーフラットパネルディスプレイとしての応用開発を目的に有機 EL 材料としての新規な一重項発光材料および一重項青色発光材料用新規ホスト材料の合成とそれらを用いた素子特性に関する研究を行っている。

(大和武彦)

研究紹介_大和

炭素-水素結合を利用した高効率な有機合成反応の開発

 有機分子には多くの炭素-水素結合が含まれていますが反応性が低いため、有機合成では一般的に反応性の高い部位を利用します。このため、反応性の部位がない分子は有機合成への利用が制限されます。一方、反応性が低いものの有機分子にはありふれた炭素-水素結合を反応部位として合成反応に利用できれば、反応性部位を持たない単純な有機分子から直接的に目的の物質を得る、高効率な有機合成が実現できるようになります。そこで、炭素-水素結合を利用した高効率な有機合成法の実現をめざし、様々な遷移金属錯体を触媒とした活性や選択性の高い触媒系の開発や、新しい合成反応の開発を行っています。

(小山田重蔵)

研究紹介_小山田

コレラ菌毒素による生体膜の孔形成機構

 人体は,心臓や胃をはじめいくつもの器官から,そして,それら器官は数多くの細胞からできています。細胞の中には,核やミトコンドリアといった細胞小器官があります。これら細胞と細胞小器官は生体膜という壁で覆われています。この膜が単なる壁ではなく,必要なものだけを取り入れて不要なものを排出する働きをしているために,人間は生きることができます。細菌やウイルスは,この生体膜を攻撃して孔をあけて細胞の働きを乱し,場合によっては,人間を死に至らしめます.細菌やウイルスがどうやって侵入するのか,その手口を明らかにすれば,適切な対処法,すなわち,治療法や予防法を開発できます.私たちは,細菌性疾病の1つであるコレラを対象として,コレラ菌の毒素が生体膜に侵入する機構を解明する研究を行っています。

(大石祐司)

研究紹介_大石

分子構造を調べる新しい分光法の開発

 生命現象を理解する上で鍵を握るタンパク質の機能を分子構造レベルで明らかにするため、分子構造を解析する新しい手法の開発に取り組んでいます。特にラマン円偏光二色性分光またはラマン光学活性分光(Raman Optical Activity, ROA)と呼ばれるキラル分子の解析に威力を発揮する装置の開発とその応用に力を入れています。

(海野雅司)

研究紹介_海野

「酵素」が「触媒」になって電気を発生

 「酵素」を「触媒」として用いた燃料電池やウエラブルセンサなどの,酵素と電極間の電子授受反応を基盤としたデバイスの実用化が急速に現実味を帯びてきています。
 酵素との電子授受反応の基礎研究から,酵素触媒型燃料電池,高感度酵素センサーなどの応用研究まで幅広く取り組んでいます。

(富永昌人)

研究紹介_富永

「泥の電池」を用いた先進的資源循環システム

 「微生物」は至る所に生息しています.ヨーグルト,納豆,お酒などなど,私たちの食生活を豊にもしてくれます.さらに,電気を発生する「微生物」もいます.特別な微生物ではなく,庭の土や干潟などいろんな場所に生息しています.そんな,どこにでもいる微生物を利用して,「発電」と「環境浄化」を同時に行う資源循環システムを研究しています。

(富永昌人)

研究紹介_富永

鉛筆から始める最新エレクトロニクス材料の開発

 鉛筆の芯であるグラファイトは,シート状の炭素であるグラフェンが積み重なった物質です。グラフェンはエレクトロニクス材料として極めて優れた特性を持っています。当研究室では,このグラフェンを化学的に取扱い,グラフェンをインク化する研究,グラフェンにセンサー特性などの機能性を付与する研究を行っています。また,研究室で生み出した物質を評価するための装置開発や,実際に応用できるかを検証するためのデバイス化とデバイスの評価も行っています。いくつかの視点を持ちながら,グラフェンを広く世の中に送り出せるよう日々研究を行っています。

(坂口幸一)

研究紹介_坂口

拍動するポリマーカプセルの研究

 マイクロカプセルはマイクロサイズで内包物質の保護や徐放作用をコントロールできる粒子です。最近では,汗をかく又は,衣料をたたくと薫る衣料用の芳香剤や,味の長持ちするガム,こすると消えるペンなど数々のヒット商品がマイクカプセルの機能を利用して生み出されています。私たちの研究室では スマートマテリアルとして知られる刺激応答性ゲルと同様の機能をマイクロカプセルに持たせることで,心臓のように拍動できるカプセルの調製に成功しました。この粒子の新奇な特性を利用して,糖を認識すると効果的に薬剤を放出できる担体,炎症部を認知し効率よく接着する薬剤担体の作成に取り組んでいます。

(成田貴行)

研究紹介_成田

自分で形をつくる材料(自己形成材料)の研究

 生物は自らをコントロールして自らを成型できます.しかし,人間が作る人工物はそのほとんどが,鯛焼きやプラスチック容器のように鋳型をもとに形を作っています.私たちの体のほとんどは水と高分子で作られており,特に細胞の周りは細胞外マトリックスと呼ばれる,タンパク質の一種や多糖類で構成されています. 当研究室では,その細胞外マトリックス多糖の一つであるアルギン酸水溶液をある条件下に置くと,生物の模様を彷彿させるような規則正しい形態を勝手に形成することを見出しました。

(成田貴行)

研究紹介_成田

タンパク質を分子レベルで解明する

 生命現象の最も基本的で重要な要素がタンパク質です。タンパク質の中で起こる多種多様な化学反応や,アロステリック効果に代表されるタンパク質動作によって生命活動は維持されています。しかし,そのメカニズムは未解明な点が多く,我々の研究室では,タンパク質の仕組みを分子レベルで明らかにするために,分光学的手法(特に振動分光法)を用いて研究を行っています。現在の研究対象はバクテリアの光応答を担う光受容タンパク質や生物発光の原因となる発光タンパク質です。低温法やキラル分光法を取り入れた新規な測定法の開発も進めています。

(藤澤知績)

研究紹介_藤澤

金属分離剤の開発

 さまざまな先端材料にはレアメタルのような有価金属が含まれています。金属資源は産業に重要で,資源に乏しい我が国では都市鉱山からのリサイクルによる回収が望まれています。しかし,使用済みの電化製品に含まれる元素は多種にわたり,しかも含有量は微量です。対象となる金属資源を選択的に分離回収・除去する分離剤の開発が必要です.本研究では特殊な構造を基体とする新規分離剤の開発を行っています。最近では,特殊な構造に限らず,新規の工業用の分離剤の開発も始めています。

(大渡啓介)

研究紹介_大渡

いろいろな光を使って溶液のなかの分子を観る-アミノ酸やペプチドの溶存状態-

 化学反応のほとんどが溶液中で起こります。それら化学反応のメカニズムを理解するためには,溶液中に溶解している化学物質の状態を知ることが必要です。
 私たちはX線,中性子,赤外線などの光を使って,水などの溶媒が化学物質を取り囲んでいる様子を分子レベルで観測し,化学反応への効果を考えています。特に,アルコール-水混合溶液中でタンパク質分子を構成するアミノ酸やペプチドがどのように溶けているか,アルコールや水の組成比によってペプチドの構造がどのように影響を受けるかを解明しています。図はエタノール-水混合溶液中でロイシンの親水基は水分子(赤)が,疎水基はエタノール分子(青)が取り囲んでいることを示しています。

(高椋利幸)

研究紹介_高椋

二酸化炭素の分離・回収技術および利活用技術に関する環境低負荷型液体の探索と微視的物性解明

 CO2削減の観点から,CO2を分離・回収し,貯留または利活用する既存技術の高度化や新規技術の開発は解決しなければならない課題の一つです。本研究室では,環境低負荷な液体であるイオン液体や共融混合物をキーワードに,圧力・濃度の低いCO2を可逆的且つ化学的に吸収・脱離できる吸収液の探索と,核磁気共鳴分光法による反応機構の解明に取り組んでいます。また,炭酸エステル類やメタノールなどはCO2を化学的に利用した有価物です。本研究室では,それら化合物を用いた環境低負荷な液体溶液の探索と,分子レベルにおけるそれら溶液の静的構造や動的挙動(回転,並進)の解明も進めています。

(梅木辰也)

研究紹介_梅木

ながれや多孔性材料を用いた粒子の分離

 さまざまなサイズや形をもつ粒子は,食品工業や電子工業で利用されている。粒子の調製後に意図した粒子を得るために,1)ながれを円管内につくり,そこに粒子を入れてながれによって移動しながら分離する,2)ゲルを充填した筒にながれによって圧力をかけ,変形したゲルの間隙を用いて分離する,3)多孔性の膜を用いて分離する,を研究している。

(川喜田英孝)

研究紹介_川喜田

高分子ブラシを表面修飾した微粒子を利用したボトムアッププロセスによる機能性粒子膜の作製

 微粒子を膜状に集積したものを粒子膜といい,光学素子や記憶材料などの様々な機能性材料への応用を目指して盛んに研究が行われています。そのような"小さな構造"を持つ材料に関する研究の多くでは,制御が容易なトップダウン型(粒子を外部から動かす)の手法によって粒子膜を作製していますが,トップダウン型アプローチは高コストであるため,新規材料の実用化を考えた場合は大きな問題となります。私たちの研究室では,種々の高分子ブラシを表面修飾した微粒子と,移流集積法と呼ばれる粒子の自己集積現象を利用した成膜手法を組み合わせることで,テンプレートフリー(鋳型を用いない)なボトムアップ型(粒子が自ら動く)アプローチによる様々な粒子膜の作製に取り組んでいます。

(森貞真太郎)

研究紹介_森貞

リチウムイオン電池用正極材料の開発

 携帯電話やデジタルカメラなどに使用されているリチウムイン電池は,1991年にソニーと旭化成が商品化に成功した二次電池です。現在はハイブリッドカーの一部や電気自動車などにも使用されています。
 リチウムイオン電池は,リチウムを含む材料を正極として用い,そのリチウムがイオンとして負極材料に取り込まれることで充電,逆の動作で放電を行います。あたかもリチウムイオンが正極と負極の間を行き来するように思えることからリチウムイオン電池と名付けられました。
 今でも高性能なリチウムイオン電池ですが,さらなる性能の向上のため,正極材料.負極材料,電解液の研究がすすめられています。
 私たちの研究室では正極材料に特化した研究を行い,リチウムイオン電池の性能向上を目指して研究しています。

(磯野健一)

研究紹介_磯野

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